ふしぎーく!

博物館のカエルが語る、民俗系よもやま話

岡山の妖怪、魔法様(まぼうさま)の正体とは?

こんにちは、デンカです。

 

外国から日本にやって来た妖怪で、有名なのは玉藻前(たまものまえ)。

平安時代末期に唐の国からやって来て、美女に化けて後鳥羽上皇をたぶらかしたという伝説があります。一説には、遣唐使の船に紛れてやって来たとか。

要は密航。幕末の日本人を思わせるアグレッシブさですが、世の中上には上がいる!

なんと室町時代、宣教師の船に乗って日本にやってきた妖怪がいるんです。

そんな彼の名前は魔法様(まぼうさま)!

 

魔法様はどんな妖怪?

 

玉藻前の正体は有名な九尾のキツネですが、魔法様の正体はタヌキ

キツネの次の密航者はタヌキってなんか出来すぎな気もしますが、このタヌキ、別名をキュウモウダヌキとも言い、岡山県で祀られています。

で、このタヌタヌ、宣教師と一緒に来たんだからヨーロッパの出身なのか? と調べてみたところ、全然違うことが判明しました。

なぜって、タヌキは日本、朝鮮、中国と極東ロシアにしかいないから。頑張ってベトナム北部までらしい。

オサレなヨーロッパ妖怪かと思ったら違うんかい!

例えて言うなら「あの子、留学経験あるんだって」と感心してたのに、実は駅前留学だったみたいな残念さ。伝説をよーく調べてみても「出身地は不明」とされています。

う~ん、彼のことをもっと知りたいのになぁ……と、持ち前のしつこさでいろいろ調べていたところ、とんでもない事実が判明しました!

 

ミッション! 宣教師の活動から、魔法様の正体を調べよ!

 

この魔法様、宣教師の船で日本にたどり着いたとき、すぐに居場所を岡山県に決めたわけではありませんでした。日本全国を旅して最終的に気に入ったのが岡山県。廃坑になった加茂の銅山でした。

つまり彼は旅が大好き放浪癖があるんですね。

おまけに踊りも大好き。月のきれいな晩には「サンヤンサンヤン」と歌いながら、鍬やら鋤やらをカンカン鳴らして踊ったそう。(酔っ払いのおっちゃんかよ……)

で、そんな魔法様の真の正体について、16世紀、アジアにやって来た宣教師から紐解いてみることにします。

 

フランシスコ・ザビエルと言えば、歴史の教科書で超お馴染み、イエズス会の宣教師です。

彼ら宣教師はインドのゴアとマレーシアのマラッカに拠点を持っていました。ザビエルの場合、日本へはゴア、マラッカ、それから中国(当時は明)という経路で来ています。

でもね、それだけじゃないんです。インドネシアのテルナテという小さな島にも行ってたりと、行動範囲が広い!

 

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(地図は『白地図専門店』さんのフリー素材からいただきました) 

 

位置関係がわかるようにマラッカも載せましたが、東南アジア狭しと活動しまくっていたのがよくわかります。

 

結論。魔法様は東南アジアも旅していた?

 

ーーさて。ここで話は魔法様に 戻ります。

魔法様は月夜に「サンヤンサンヤン」と踊るハタ迷惑な妖怪だと先ほどお話ししました。

で、この「サンヤン」。実は、インドネシアはバリ島に伝わる伝統舞踊のことなんです。

疫神を祓うため、神がかりになったふたりの少女が行うこの踊り、旅が大好きな魔法様がふと立ち寄った島で見学していたとしたら?

まぁ、妖怪なんて架空の存在じゃん、踊りだって偶然の一致でしょ? と言ってしまえばそのとおりなんですが。 

魔法様は人に化けるのがへたくそで、尖った口先に濃い口髭、顎は細く胴長短足だったそうです。

 

さて、ここからひとつの仮説を立てます。

「鬼は、日本に漂着したヨーロッパ人のことだった」、な~んて有名な説がありますよね?

だったら魔法様の正体は、東南アジア人、もしくは中国南部の少数民族だった」というのもアリじゃないでしょうか?

宣教師の船に乗り、各地を旅した東南アジア人の魔法様が、日本を終焉の地に選んだのだと想像すると、個人的に胸熱です^^