ふしぎーく!

博物館のカエルが語る、民俗系よもやま話

新車で心霊スポット巡り

何年か前、デンカは熱海に出かけたことがありました。

所用を済ませて夜になり、夕飯を食べるために駅近の飲み屋さんへ。観光地なのに店仕舞いが早いところが多くて困っていたので、「まだ大丈夫っすよ」とお店のお兄さんに言われたときは心底ホッとしました。

カウンター越しに世間話をしていたら、そのお兄さんが怪談を披露してくれたので、今回はそいつをひとつ。

 

ベタだけど、やっぱりあるんすね、こういう話……

 

【熱海の飲み屋で店のお兄さんから聞いた話】

何年か前、友達が「免許取って新車も買ったからドライブ行こうぜ!」って誘ってくれたんですよ。

せっかくだから知り合いの女の子も乗せて、2対2で夜の山をドライブしましてね。車の中で超盛り上がって、そのままの流れで「出る」って噂のトンネルに行くことになっちゃったんです。

そのトンネルは暗くて不気味だったけど、なんにも起こらなくて。

「大したことねーじゃん!」って友達が言い出して、わざわざトンネルの真ん中で車を停めて、「おーい!」とか叫んでたんです。

そしたらみるみるそいつの様子がおかしくなって。

口数が少なくなったと思ったら、いきなり車の上によじ登って飛び跳ねだしたんですよ!

買ったばかりの車だし、そいつも大事にしてるの知ってたからこっちはパニック。車の屋根がベコベコに凹むくらいの本気のジャンプで、トンネルの中に車を踏みつける音が響く響く!

始めは冗談だと思って笑って見ていた女の子たちも、尋常じゃない空気に気づいて「や、やだ」「ちょっとどうしちゃったの!?」って半泣きになっちゃいましてね。

自分はビビりながらも暴れるそいつを引きずり降ろして車の中に押し込めたんです。そうして様子を見てたら落ち着いて。「……俺、何してたんだ?」って真顔で聞いてくるんです。

そいつ、車の上で飛び跳ねてたときの記憶がごっそりなくなってたんですよ!

「とにかく車出せ、話は後だ!」って、慌てて山から下りてきたんですけど、もう二度とあんな目には遭いたくないですね~。

 

感想。

 

笑って話してくれたお兄さんでしたが、目の前でそういうことが起こったら本気で怖い!

というか、「怖い目に遭いに行ったら怖い目に遭いました」というよく聞くパターンの怪談だけど、実際の体験者から話を聞くのは初めてで、ちょっと興奮してしまいました。

そのお兄さんが行ったトンネル、名前もきちんと聞いていたはずなのに、記憶がすっぽり抜け落ちてしまっているのが残念です。