ふしぎーく!

博物館のカエルが語る、民俗系よもやま話

亡者の湿原

こんにちは、デンカです。

 

高校時代、ワンゲルでよく山に登っていたデンカでしたが、立山連峰を初めて見たときは本気で「ヤバい」と感じました。

なんかもうね、そこにあるだけで「偉い」、「尊い」オーラを放ってるんですよ、山が。気軽に日帰り登山ができるような、小さな山とはレベルが違う……。

 

昔の人も同じようなモノを感じたのか、立山にはあの世があると言われてまして、富士山、白山も合わせた日本三霊山のひとつに数えられています。

今回はそんな立山を訪れたとき、ふと耳にしたお話です。

 

【富山県の立山黒部アルペンルートで、バスガイドさんから聞いた話】

立山は昔から、亡くなった人の霊が登って来る山だと信じられていた。その一方で、信心深い人々が修行と称し、杖を突き突き訪れる場所でもあった。

立山の阿弥陀が原という場所に、修行者を泊めるために夏の間だけできる小さな集落があった。

ある晩のこと、この集落で働くひとりの男がすすり泣きの声を聞いた。はて、道に迷った旅人でもいるのかと小屋を出ると、湿原の中を誰かが彷徨っている。

思わず声を掛けようとして、男の喉元まで膨れ上がった違和感がすんでのところで言葉を止めた。

よくよく目を凝らしてみれば、その人影は痩せこけた餓鬼で、手にした稲を一心に湿原に植えていたのだ。

しかし、植えられた稲はすぐ枯れてしまうので、空腹に耐えかねた餓鬼がヒィヒィと声をあげて泣く声が、山の夜風に乗って男の元に届いてきていたのだった。

 

餓鬼が田植えをしていたあたりを写真に撮ってみた

 

――夏季限定の集落で、餓鬼を見た。

それはつまり、非日常の空間で、非日常のモノを見たということで。

ベタだけど切ない話ですね。

あと、冬の間餓鬼は何してるのかなと余計なことも考えてみたり。

というわけで、問題の阿弥陀が原、通称餓鬼の田の写真を撮ってみました。

 

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季節は秋だったので、枯れ草が目立つなぁ。

わかりづらいのですが、ここには池塘(ちとう)と呼ばれる高層湿原特有の沼地が広がっていて、それが餓鬼の田と呼ばれています。

ホテルも二軒ほどあるので、一度泊まってみたいんですが……夜中に外を見たら、何か怖いモノがいそうな予感ですw