ふしぎーく!

博物館のカエルが語る、民俗系よもやま話

めちゃくちゃそっくり! 映画版『風の谷のナウシカ』の元ネタを発掘してみた

こんにちは、デンカです。

今回は趣向を変えて、みんな大好きジブリ作品、『風の谷のナウシカ』について考察してみたいと思います。

 

ナウシカはさまざまな元ネタが複雑に組み合わさっていることでも有名ですよね。

例えば日本の古典、『堤中納言物語』の中の「虫愛づる姫君」もそのうちのひとつ。

あと、典型的な「貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)」だったりとか。

貴種流離譚とは民俗学者の折口信夫が創った用語のひとつで、こんなふうに説明されています。

 

【貴種流離譚】

若い神や英雄が他郷をさまよいながら試練を克服した結果、尊い存在となるとする説話の一類型。

折口信夫が一連の「日本文学の発生」をめぐる論考のなかで、日本における物語文学の原型として論じた概念である。

 

……なんだかちょっとお勉強チックになっちゃいましたが、ここから先はざっくばらんに以前から取り沙汰されている元ネタと、私が見つけた「もしやこれも?」な衝撃的な元ネタを紹介したいと思います。

 

以前から取り沙汰されている元ネタ

 

~世界観&人物編~

★フランク・ハーバード『デューン 砂の惑星』
アメリカのSF小説。広大な砂漠や巨大な虫サンドヴォームが登場。ナウシカ以前に石ノ森章太郎が描いた挿絵がまんま王蟲らしい。キャラ配置もナウシカと似ている。

★メビウス『アルザック』
フランスの漫画、バンド・デシネ。翼竜に乗って旅をする主人公が、ナウシカとメーヴェを思わせる。こちらは監督本人も影響を受けたと言っている。

★ホメロス『オデュッセイア』のナウシカア
スケリア島に漂着したオデュッセウスを助けたお姫様。
※前述の『堤中納言物語』と共に、原作漫画1巻目のあとがきで触れられている。

 

~服装編~

★グルジア(ジョージア)の民族衣装、チョハ
胸にキレビと呼ばれる弾帯がついているのが特徴。

 

実はこれも元ネタ? 映画版ナウシカとそっくりなストーリー


いくつかのナウシカの元ネタを紹介してきましたが、ここで映画版『風の谷のナウシカ』のストーリーをおさらいしたいと思います。

 

【風の谷のナウシカ

荒廃した未来の地球。風の谷と呼ばれる小さな国に、かしこくて勇敢なナウシカというお姫様がいた。
「青き衣をまといし者」の予言をおばば様から聞いた晩、風の谷にトルメキアの輸送船が墜落。積み荷はペジテで発掘された巨神兵で、それを取り返さんとやって来たトルメキア軍の急襲を受け、風の谷は陥落する。
人質となったナウシカは、ペジテに送られる途中、いろいろあって腐海の深部に落ちる。そこで腐海の秘密を知るも、今度は風の谷に王蟲の群れを突っ込ませ、巨神兵を奪い返そうとするペジテの計画を知ってしまい、またもや囚われの身に。
――風の谷に帰って、危機が迫っていることをみんなに知らせなくては!
どうにか谷に戻ろうとするが、そのころ谷では村人vsトルメキア軍の戦いが起こり、村人たちが不利になっていた。しかも、王蟲の群れが津波のような大群となって谷に向かい、巨神兵の力でも倒せないほどの数になっていたのだ。
囮となっていた子王蟲を群れに返すことで、王蟲たちの怒りを鎮めようとするお姫様。あまりに危険な計画のため、「君も死ぬぞ!」と止められるが振り切る。
ランランララランランラン♪
「古き予言はまことであった……」byおばば
運よく生き残ったナウシカ。トルメキア軍は撤退、最後は腐海の底でチコの実が芽を出しておしまい。 

 

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……ラストが多少投げやりですが、まぁ、ざっくり言ってこういう話だったかとw

では一方で、こういう話があったらどうでしょう?

 

【とある漫画】

1700年代の南太平洋。キング島と呼ばれる小さな島に、かしこくて勇敢なお姫様がいた。 
ある日、キング島にイギリスから船がやって来た。いろいろあって、お姫様はイギリスに渡ることに。
偶然出会ったジプシーのおばばに「おまえは女王と呼ばれるようになる」と予言されたお姫様は、さまざまな苦難を乗り越えヨーロッパで成長していく。ところがキング島を植民地にしようとするヨーロッパの企みを知ってしまい、囚われの身に。
――キング島に帰って、危機が迫っていることをみんなに知らせなくては!
どうにかキング島に戻り、列強の支配に負けないよう、島の政治や産業を安定させていくお姫様。彼女はおばばの予言通り、皆から女王と呼ばれるようになる。
そこへ、イギリス軍が島を植民地にしようと攻め込んできた。島民vsイギリス軍の戦いは圧倒的に島民が不利。山の上にある湖の堰を切って山津波を起こし、イギリス軍を一掃しようとするお姫様。あまりに危険な計画のため、「死ぬ気ですか!」と止められるが振り切る。
運よく生き残ったお姫様。イギリス軍は撤退、最後は島の農園からカカオが小さな芽を出しておしまい。
 

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主人公は小国のお姫様、襲来する軍事国家、自己犠牲に津波、最後に芽を出す植物の芽……。

まぁ、南の島のお姫様のほうにはもっといろんなエピソードがあるんですが、簡単にまとめるとこんな感じです。

 

ふたつの話、なんだかものすごく似てませんか?

ちなみに南の島のお姫様の話は『はるかなる風と光』という少女漫画で、作者は美内すずえ。

そう、『ガラスの仮面』の先生です。でも、『ガラスの仮面』以前はこの話が代表作だったんです。

作品が発表されたのは1973年の10月から74年の10月までの別冊マーガレット。ナウシカの漫画は1982年に連載開始、映画は1984年3月に封切りとなっています。

宮崎監督は少女漫画好きでも有名ですし、『はるかなる風と光』も読んでると思うんですが、いかがでしょう?

 

おまけ。まだまだある元ネタシーン

 

また、『はるかなる風と光』のワンシーンは、宮崎監督の他の作品にもたくさん使われています。

たとえば、監禁室なのにドレスや宝石がたくさん……と言えば?

もひとつおまけにヒント。『流行りの服は嫌いですか?』

 

……そう、『天空の城 ラピュタ』で、シータがムスカに捕らわれたとき!

『はるかなる~』だとナポレオンがヒロインに試練を与えたときに登場した部屋なんですが、『ラピュタ』ではムスカのいやらしい性格を表現するのに使われてるんですw こいつ、物でシータを釣る気か、澄ました顔してえげつないな! ってw
 
宮崎監督なら70年代のSF映画もオススメ。『シュナの旅』や『ラピュタ』の元ネタがぽろぽろ出てきて面白いです♪