ふしぎーく!

博物館のカエルが語る、民俗系よもやま話

水木センセイに触発されて、おしっこ様を見に行った話。

こんにちは、デンカです。

 

日本には「おしっこ様」なる神様が祀られている場所があります。もう名前からしていかがわしい神秘的ですよね!

今日は表題のとおり、青森県までおしっこ様を見に行ったときの話です。

 

出会いは一冊の本から

 

さて、このおしっこ様、一応、神様と妖怪の中間に位置する方なんですが、名前のせいで若干の下ネタ臭が漂います。

この神様との出会いは一冊の本から。岩波新書が出した水木しげる著『カラー版 妖怪画談』を見ていたときでした。その文章を要約するとこんな感じ。

 

昭和45年頃、東北の金木町あたりでおしっこ様というものを祀る家があるというので見に行った。それは奇妙な鉄工所の片隅にあり、男女2体の小さなカッパとおぼしきものが祠の中に祀られていた。

 

な、なんだそれは!? おしっこ様=カッパ? よくわからんけどおもしろそうだぞ!

当時子どもだった私はそのネーミングセンスに惹かれ、いつか見に行きたいなーと漠然と考えていました。

で、あるとき青森の三内丸山遺跡が見たくなり、ついでに金木にある斜陽館も、と考えたとき、ふと思い出したんです。金木=おしっこ様のところだ! と……。

とはいえ、本に載っていた情報は「金木町」と「奇妙な鉄工所の片隅」のふたつだけ。それだけじゃおしっこ様が祀られている場所はわかりません。なので、ネットや民俗学事典を駆使して必死で調べることになりました。 

 

どうにかおしっこ様を発見! だがしかし…… 

 

探し続けること数日、水木しげるセンセイが紹介していたおしっこ様は、つがる市の木造(きづくり)に祀られていることまで突き止めました!(センセー、金木じゃないじゃん!)

金木は現在、五所川原市の一部となっており、つがる市とはお隣同士。とはいえ、僻地の悲しさゆえ交通の便がものすごく悪く、車の運転に自信がない私は電車とバスとタクシーを駆使するハメになりました。

新幹線で新青森に到着し、その日は三内丸山遺跡へ。翌日は斜陽館やら日本最古のリンゴの木、さらにはつがる市縄文住居展示資料館を拝見して、ラストはおしっこ様だ~! と意気込んだのもつかの間。

あれ? 鉄工所はあるんだけど……。(あとこの鉄工所、全然奇妙じゃないんだけど……w)

 

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おしっこ様がいないっ!?

 

事前にグーグルのストリートビューで調べたときは、紅白のカラーコーンが置いてあるあたりに祠が鎮座してたのに! これこれ! こんなふうに!

 

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恐る恐る、お隣の鉄工所に行ってみます。

 

「お忙しいところすみません……。あの、隣にあったおしっこ様ってもうないんですか?」

「ああ、あれ。ついこのまえ近所の實相寺さんに返したよ

 

うそぉっ!?

 

どうやら付近では、最近まで道路工事が行われていた模様。その際、片づけられてしまったようです。

ダメ元で實相寺さんにも行ってみましたが、ちょうど何かのイベント中で話を聞くこともできませんでした。(涙)

 

 そもそもおしっこ様とは?

 

今回は残念ながら対面できなかったおしっこ様ですが、青森の西北津軽地方、岩木川を中心に80か所くらいで祀られているそうです。御利益はもちろん水難除けで、そもそも祀り始めたのが實相寺さんだとか。

実は、「おしっこ様」は「お水虎(すいこ)様」が訛ったもの。元は中国の川の妖怪で、日本に渡ってきてからカッパと混同されるようになりました。

そっか、おしっこ様って言葉通りじゃなかったのかぁ……w

 

 【おまけ】おしっこ様の代わりに見てきたもの

 

こ、ここまで来たのにぃ……!

正直落ち込んだものの、転んでもタダでは起きません。やはりこのあたりはカッパと縁が深いようで、鉄工所の目の前、小さな公園にはカッパの像が飾ってありました。

 

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カッパが「かっぱ広場」という看板を持っています。「水虎広場」とか「おしっこ様広場」じゃないんですね……w

そして、この道をまっすぐ駅へ向かうと…… 

 

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で、出た~! 駅舎の壁が遮光器土偶!

 

圧倒的迫力! ほとんど人のいない駅前で、大興奮して写真を撮りまくるデンカw

この木造の駅から直線で10キロくらい行った場所に遮光器土偶が発見された亀ヶ岡遺跡があるんです。

しっかし、思い切ったことしたなぁ。

これ見てたらおしっこ様に会えなかった悔しさが少し和らいだのでした。