ふしぎーく!

博物館のカエルが語る、民俗系よもやま話

迷惑な人たちばかり引っ越してくる家

 

【高校生のとき、友人から聞いた話】 

私の親が家を建てたのは、私が幼稚園児だったとき。二階建てのごくごく一般的な作りで、小さな自分用の部屋まで与えてもらった。家の向かって左はこのあたりで代々地主をやってる一族の分家さんで、右はうちより半年くらい前に家を建てたNさん一家だった。

Nさん家族は両親と二十歳前後のお兄さんだったんだけど、仲はあまりよくないみたいだった。たまに怒鳴りあう声が聞こえてくることもあったしね。

おじさんは不愛想だし、おばさんはいつもイライラしてて、フリーターのお兄さんも変わり者。夏は上半身裸で近所をうろついて、電柱にカエルを叩きつけて遊ぶのが趣味だった。ちょっと危ない人かもって近所では有名になって、私も外に出るのが怖かったよ。

でも、お兄さんはすぐに家族と引っ越していった。だいぶ後で知ったんだけど、ローンが払えなくなって家を手放してしまったみたい。

 

そのあと、この家を買い取った不動産屋が賃貸にしたんだけど、ここからが災難の始まり。

なぜって、引っ越してくるのはNさん一家同様、家族仲が悪い人たちばかりで、怒鳴り合う声がNさんち以上にうちまで響いてくるようになったから。たまに壁?に激突する音とか、誰かが誰かを全速力で追いかけて引き倒すような音とかもしてた。

オカルト的な発想だけど、一番初めの家族でケチがついて、家自体がそういう人たちをおびき寄せる装置になっちゃったっていうか。

あと、ご近所トラブルもよく起こしてた。

ある一家はご近所の玄関前で飼い犬におしっこをさせて、「やめてください」と言われたら「犬のすることなんだから目くじら立てるほうがおかしい」と言い返す。

次の一家は猫を放し飼いにして、その猫が近所の家のインコを食べちゃったり、よその花壇に糞をしても見て見ぬふり。外で乾かしてた加湿器に飛び乗られて、倒れた拍子に壊されたって怒ってる家もあった。

さらにすごかったのは高校生の兄妹がいる家。妹は2階の窓からソース焼きそばのお湯を捨てるし、お兄さんは同じく2階の窓から立ちしょん。ふたりとも学校にはあまり行ってない感じだったし、家に出入りするおとなが頻繁に変わるから、家族構成がよくわからなくて怖かった。

 

そんなこんなで私が中学生のとき。3番目のお隣さんが出ていって、これでしばらく静かになるって思ってたら、いきなりリフォームが始まって家が売りに出されたの。新しくやって来たのは仲の良いご夫婦とおばあちゃん、それから幼稚園児の女の子。

このご夫婦がすごく穏やかでやさしくて、おばあちゃんも元学校の先生で明るくて物知り。子供好きだった私も幼稚園の女の子と仲良くなって、なんとなく家族ぐるみのおつきあいをするようになったんだ。旅行のお土産を渡したり、ちょっと珍しい外国の食べ物をお裾分けしたりして、毎日すごく楽しかった。

で、これからはずっとこの人たちが住むんだし、もう大丈夫って安心してたんだけど、そうは問屋が卸さなかった。というより、この家が許さなかったのかな?

お隣のご夫婦は同じ会社に勤めてたんだけど、急きょ会社が移転することになって、せっかく買った家が無駄になっちゃったの。

で、「残念だけど、ここにはもう住めない。せっかく買った家だけど、賃貸にすることにした」って……。

もうさ、うちの家族だけでなく、ご近所さんもひっくるめて愕然としちゃったよ。やっと静かに暮らせると思ったのに。次はどんな人が引っ越してくるのか、今から怖くて仕方がないよ……。

 (高校卒業後、彼女とは疎遠になってしまい、続きを聞くことはできませんでした) 

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