ふしぎーく!

博物館のカエルが語る、民俗系よもやま話

幻のニホンオオカミを求めて【秩父の怪談 3】

 

その昔、日本の野山を自由に駆けまわっていたニホンオオカミ。しかし、1905年の1月に奈良県で捕獲されたのを最後に絶滅したと伝えられています。

ですが、未だに目撃情報が絶えないのも事実。1996年には秩父山中でニホンオオカミに似た動物が目撃され、なおかつ写真に撮られています。

おまけに秩父一有名な神社、三峯神社の御使いもオオカミだし、とにかく秩父はニホンオオカミに縁がある!

というわけで、現地調査で思いのほか多く集まったのがオオカミの話。せっかくなので2話連続で参ります!

 

オオカミなんているわけない!?

 

【埼玉県秩父市大滝で、60代のT次さんから聞いた話】

親から聞いた話だが、その昔、三峯に登った人がいた。

で、日暮れになって『オオカミなんているわけない』と言ったら、尻尾のフサフサした大きなオオカミが前になり後になりついてきたらしい。

きっとご神狼が懲らしめるために出てきたんだろう。

 

……これと同じ話、どこかで聞いたことがある! ふるーい記憶を掘り返してみたら、妖怪油すましの話と同じでした。

あれも、「昔、このあたりには……」と老婆が言うと、「まだいるぞ」って話でしたよね。滅びる一歩手前の哀れさみたいなものを感じます。(T_T)

 

ちなみにニホンオオカミはこんな動物。

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(著作権者:momotarou2012さん CC BY-SA 3.0 File:Japanese Wolf.jpg-Wikipedia)

 

尻尾、フサフサかと言われると疑問が残ります。あと、思ったよりかわいい顔つきです。

また、この男性はこんなことも言っていました。

「今でもオイヌサマ(秩父の人はニホンオオカミをこう呼ぶ)はお祭りの日に出てきて供えた赤飯を食べてしまうらしい。でも正体はキツネじゃないか?

……ああ、夢がない!

 

ご先祖様、不思議なことに遭いすぎ!

 

さて、お次は週末になると町から落合の畑までやって来る、77歳U太郎さんのお話です。

このU太郎さん、「ぼたもちと謎の少女」を話してくれた人でもあります。

 

www.fushigeek.com

 

U太郎さん「じいさんか親父に聞いた話なんだがね、俺の先祖のひとりがある日川辺でオオカミのおかしな鳴き声を聞いたんだ。行ってみると魚の骨が喉に引っかかってるらしくてさ。『抜いてやるから噛みつくなよ』と言って取ってやると、うれしそうに鳴いてしっぽの毛を3本抜いて残していったんだ。その毛は明治くらいまで家にあったらしい」

デンカ「それで、その毛は何かの役にたったとか……」

U太郎さん「いや、別に」

デンカ「…………」

 

昔話だと、「その毛をかざして人を見ると、相手の本性が見える」なんてパターンなんですけどね。

それにしても、U太郎さんのご先祖は妙な事件との遭遇率が高いなぁ。

 

オオカミの話は残るのか?

 

フィールドワークをした落合では、「オイヌサマに関する不思議な話を知っていますか?」と聞くと結構な頻度で「知ってる」という返事が返ってきました。

ですが、当然のことながら話者本人の経験ではないわけで。一世代とか二世代前の話なんですよね。

オオカミが滅び、人も世代交代すれば取るに足らない不思議な話は簡単に忘れ去られていく。「まだいるよ」ってかすかな声が答えてくれるうちに書き留めておくのも大切なことなのかもしれません。